中原眼鏡店|熊本県

熊本の眼鏡店に合わせた什器のデザイン。階段箪笥のように段々に設えた壁面什器は移動するにつれて棚の高さが変化していくので、商品を見せたい角度で立体的に展示することができる。壁面什器は全て福岡県大川市のタンスメーカー境木工にて製作。ロッキング加工(斗組)がタンスメーカーならではの仕事の跡だ。什器の主材料となっている桐の木目は嫌味がなく、繊細な眼鏡の造形を邪魔しない。素材のせいなのかディテールのせいなのか、トラディショナルなデザインの眼鏡がより映えるという発見もあった。ガラス天板では出ない陰影や眼鏡を置くときの音など木の良さを改めて感じる什器となった。

眼鏡の試着用に設えた全身鏡は、着用している眼鏡の置き場に困らないよう中間に小棚を設けた。小棚は眼鏡が落ちにくいようわずかに水返し加工がしてある。

階段下にあるベンチは徳島県の秋月木工で製作してるJYABARA lounge bench wide。後ろから射すからりとした陽の光が潔い白の階段や家具とよく似合う。lounge benchの背面はキャビネットになっているためショーウィンドウ前に置くことで外からはディスプレイとなる。背面に緑を背負って座る場はとても贅沢で心安らぐ空間だ。階段下という場所も居心地の良さに一役買っている。

二階のミーティング兼カフェスペースは用途に応じて2つの台形テーブルを直線に並べると最大4メートルの大テーブルとなる。ミーティング時の書物のしやすさを配慮し天板はリノリウム、移動させる用途を踏まえ框としてホワイトオーク材を廻した。ミーティングへ前のめりで臨みやすいよう框上面にテーパーを当て肘あたりよく。裏面も同様にテーパーをとることで薄くすっきりとした天板となっている。

飾り棚は水平ラインを波打たせることで棚間の余白が変化し、飾るものに居場所が生まれるようにした。背面がダークグレーになることで置くものも映える。こちらもテーブル同様に枠はホワイトオーク、背板はリノリウム。

中原眼鏡店
熊本県熊本市北区室園町10-30/店舗/2018年 /境木工(福岡県)・秋月木工(徳島県)・哲の家具意匠研究室(鹿児島県)

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